不動産会社の社内SEだった女性の体験談

性別
年齢 36歳(当時)
社内SE歴 2年

持っている資格
プロジェクトマネージャ、アプリケーションエンジニア、ソフトウェア開発技術者

働いている企業の業種

不動産会社

わたしの経歴

わたしは、新卒でシステム開発会社に入社し、2回の転職を経て、3社目の不動産業で社内SEになりました。
経歴は以下の通りです。

1社目(SE):社員10名のシステム開発会社(3年)
2社目(SE):社員1000名のITサービス企業(8年)
3社目(社内SE):社員70名の不動産会社(2年)
現在:結婚のため退職し、フリーランス

SEからSEへの1回目の転職

1社目は、社員10名程度のシステム開発会社でした。
わたしは文系出身ですが、大学で簡単なプログラミングを習う講義を受け、その楽しさにひかれて入社しました。
OJTでプログラミングを学び、プログラマー・システムエンジニアとして多くのプロジェクトにかかわりました。
仕事自体はおもしろかったのですが、資金繰りに失敗して給与の遅配が続くようになったため、入社3年目で1回目の転職をしました。

そのときの転職で利用したのは中堅の転職斡旋会社です。先に転職をした同僚からの紹介でした。
担当エージェントと面談してこちらの希望条件を提示し、会社を紹介してもらう仕組みです。この時点では、SEとしてシステム開発を続けるつもりだったので、SE職として応募しました。
何社か受けて、最終的にITサービス企業に転職しました。

SEから社内SEへの2回目の転職

2社目は、東証一部上場のITサービス企業で、開発部署に所属し、8年間勤めました。
1社目と同様、プログラマー・システムエンジニアとして働きました。年齢的にも中堅どころになったころには、プロジェクトリーダーを任されることも多くなり、年下の同僚が増え、教えられる立場から、教える立場となりました。

転職を考えるようになったのは、残業が多く、肉体的にしんどくなってきたからと、プロジェクトリーダーとして責任のある仕事をする上で、精神的にもつらくなってきたからです。
残業代はすべて支払われるので、給与は多くなりましたが、プロジェクトリーダーとして顧客との折衝やメンバーのとりまとめなど、神経をすり減らして働くのがイヤになったのです。
システム開発の仕事自体は好きなので、これまでの経歴を活かしつつ、残業が少ないであろう社内SEとして転職を考えるようになりました。

2回目の転職では、「いい会社があれば」くらいの気持ちで、時間をかけて転職活動をしました。大手の転職斡旋会社2社に登録し、担当エージェントにも「ゆっくり探したい」と伝えました。
結果的に、10カ月くらいの転職活動で数社と面接し、不動産会社に社内SEとして採用されました。

社内SEとしての仕事

転職した不動産会社は、社員70名の中小企業です。
システム専任の社員はおらず、少しシステムに詳しい社員が兼任でシステム管理を行っていました。

わたしのメインの仕事は、新しく導入したシステムのメンテナンスでした。
新しいシステムを導入したはいいけれど、便利な使い方やカスタマイズができる人間がおらず、持て余していたため、社内SEを新規で募集し、わたしが採用されたのです。
社員が外出先でそのシステムを使えるように設定をしたり、カスタマイズのためコーディングしたり、マスタデータの整備や使い方のマニュアルを作成したり、その講義を行ったりもしました。

それ以外でも、ルーターの調子がおかしい、コピー機がつぶれた、ワードやエクセルの使い方を教えてほしいなどなど、何かわからないことやトラブルがあれば呼ばれました。

社内SEというと聞こえはいいですが、要は「なんでも屋・便利屋」です。ITになじみの薄い会社や小さい会社だと特にそうだと思います。
前職のSEでは、ソフトウェアの開発が仕事だったので、パソコンやルーターなどのハード機器に関しては、わたしも得意ではありません。
ですが、不動産業の人間からしたら、すべていっしょです。「パソコンに関すること」とひとくくりにされ、わたしに仕事がまわってきました。
調べてわかることは対応しましたが、できないことは業者や外注に頼みました。そのときでも、わたしが間に入って対応しました。

社内SEと普通のSEの違い

社内SEと普通のSEで一番の違いは、仕事相手が「顧客」か「社員」かということです。
顧客からは仕事の対価がもらえますが、社員からはもらえないので、会社的にみれば、社内SEは「稼いでいない」社員です。
ですので、「昇進して給与がアップする」とか、「大きな成果を出したので今回のボーナスは期待できる」ということはありません。
バリバリとキャリアを積んで稼ぎたい、という気持ちがある人には向いていない職種です。

社内SEの仕事は成果が目に見えにくいのです。他の社員が働きやすくする工夫をしても、それがどの程度の利益アップにつながったのかを数値で表すことができません。
そのため、給与や賞与額に満足していな場合でも、昇給の交渉はむずかしいと思います。

そのかわり、何事においても気楽という面はあります。
顧客のところに出向かなくていいのはもちろん、社員相手なので納期に融通がきいたり、できないことは「できません」と言いやすいです。万が一ミスをしても、社内の人間が相手であれば、大事にはなりません。

「普通のSEは体力的・精神的にしんどい」という方にはいいと思います。
SEから転職する場合は、それまでの経験も活かせるのでオススメです。

社内SEに向いている人

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社内SEは、社内の改善ポイントを探して、具体的にシステム化できる人、よりよい環境にすることが好きな人が向いています。

システムに詳しくない人は、何の疑問も持たずに時間のかかるルーティーンワークをしていることがあります。

「なぜそんなやり方をしているのですか?」と聞くと、「今までこうしてきたから」「前任者からこうするように言われた」という答えが返ってきます。たとえ疑問があったとしても、どの部分が簡単にシステム化できるのががわからないのです。

わたしは、そういうムダな作業をシステム化するのが好きなので、「全部のシステム化はむずかしいですが、この部分はすぐにできますよ」という具合に、作業が簡単になるように提案していました。

IT化が進んでいない会社では、どの部分がシステム化できるのかがわかる人がいません。そういう状況で、言われたことをするだけでなく、より良い解決策を提案できる人が社内SEに向いています。

社内SEになって驚いたこと

社内SEになって驚いたのは、ITリテラシーの違いです。
業界にもよると思いますが、不動産業界はIT化の進んでいない業界ですので、びっくりするようなことが度々ありました。
たとえば、「ブラウザ」という言葉が通じませんでした。
年配の社員にはもちろん、若い社員にもです。「ホームページ見るやつですか?」という認識です。

ブラウザ上の文字検索ができない、文字の大きさを変えることができない、ワードの罫線が引けない、メールに資料の添付ができない、などなど。
つい、パソコンのことを「マシン」と呼んでしまったときも、キョトンとされました。
そのようなことが度々あり、業界の違いによるITの温度差を感じました。

社内SEのいいところ

IT知識にうとい業界の人たちの、IT知識の低さに驚いた話をしましたが、反対に、少しIT知識があれば、とても重宝されます。
ちょっとしたこと、例えば、ショートカットキーやエクセルの簡単な関数を教えてあげると、「すごい!」「そうだったのか~!」と喜ばれます。

エクセルでの定型処理に時間がかかっていたので、VBAでプログラムを組んであげて、自動処理にしたとろこ、数時間の処理が10分程度で終わるようになりました。そのときもとても喜んでもらえました。
やはり、自分のした仕事で人が喜んでくれるとうれしいですし、仕事の励みにもなります。

SE業界で働いていたのでわからなかったのですが、年配の人も若い人でも、パソコンを日常的に使わない人は大勢います。
パソコン教室の先生になった気分で、いろいろ小技を教えてあげるといいですよ。

社内SEの残業時間と有給

わたたしの場合、残業はほとんどありませんでした。
社内の改善が仕事であり、「稼ぐ」仕事ではないので、基本的に定時で帰っていました。
残業するのは急ぎの仕事の場合で、「残業して作業してほしい」と要望がある場合だけでした。
スケジュールを把握して、仕事に影響がなければ休んでも問題はありませんでしたので、有給休暇も月に1日くらいの割合で消化していました。

もちろん、遅くまで残業している営業の人もいましたので、「お疲れ様でした~」と定時に帰宅するのは少し気がとがめましたが、割り切って帰っていました。

ただし、進学塾の社内SEをしている知り合いは、雑用が多く、毎日残業続きだと言っていました。社内SEだから残業が少ないというわけではなく、会社によって違うようです。

社内SEの給与

社内SEの給与は、前職のSE職のときと比べてほとんど変わりませんでした。
それは、転職するとき、わたしが給与額を条件として提示していたからです。
わたしが入社するまで社内SEがいない会社だったので、そもそも社内SEの給与はいくらが適正なのかがわからず、わたしの希望の額面が通ったのです。

ですが、その後の給与アップはなさそうでした。
営業職には「仕事をとってくる」という目に見えてわかりやすい成果がありますが、社内SEには数値化できる結果がありません。社内SEに限らず、経理や事務も同様です。誰かの仕事が楽になるようにシステム化しても、その結果として、売り上げがいくら上がったかはわかりにくいのです。

ですので、一度決まってしまった給与額は、それ以降に昇給の交渉をしようと思っても難しいです。
転職して社内SEになる場合は、入社してから交渉しよう、とか、今後給与アップがあるかも、と期待するのは止めましょう。

社内SEを辞めた理由

結婚して引っ越したため、社内SEは2年で辞めました。それがなければ続けていたかったです。
残業がほとんどなく、定時で帰宅できて、有給休暇も消化できる環境はありがたかったです。
会社との相性も大きいですが、職種として社内SEはわたしに合っていました。
ストレスをためずに働けたのは社内SEだからだと思います。
今後、子育てがひと段落して再就職を考えるときも、社内SEを中心に探すつもりです。

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